石 龍徳(SEKI Tatsunori)の研究ページ

私たちの研究の背景

成体の脳の大部分ではニューロンは生まれていません。しかし、海馬と呼ばれる脳の部位では、例外的にニューロンが新しく生まれています。海馬は記憶・学習の成立に重要な役割を果たしている部位であると同時に、てんかん、脳虚血などで障害を受けやすい部位でもあります。成体海馬のニューロン新生は、記憶・学習や神経疾患と深く係わっていると考えられています。

私たちの現在の研究

海馬でニューロン新生が続いているのは、顆粒細胞層と呼ばれる部位です。この部位が胎生期にどのようにして形成されて、ニューロン新生が成体期までどのようにして続くのかを研究しています(左図は胎生期海馬の顆粒細胞層の形成過程を示しています)。また、てんかんモデル動物を用いて、けいれん発作によって誘導される異常なニューロン新生についても研究しています。

上図:胎生18日目のGfap-GFPマウスの海馬。Gfap-GFP(緑)、BLBP(赤)、Sox2(青)、DAPI(灰色)


海馬とはどのような場所か?

①海馬は記憶や学習の成立に重要な役割を果たしています。

 

②進化的に古い大脳皮質に属します。

③神経疾患によって障害されやすい部位です。

大人の脳でもニューロンは新生している

大人の脳の大部分ではニューロンは新しく生まれていません。しかし、海馬では例外的にニューロンが生まれています。このニューロン新生は記憶・学習や様々な神経疾患と関係しています。

海馬で一生続くニューロン新生のナゾを解く

海馬では、生後もニューロン新生が続き、一生ニューロンが産生されます。この胎生期〜成体期までのニューロン

新生のメカニズムを包括的に研究しています。

てんかん発作で海馬のニューロン新生が異常になることがある

ネズミにてんかん様のけいれん発作を起こすと、ニューロン新生に異常が起こることが知られています。この異常なニューロン新生を研究しています。